無口なキミと同居します。
▽え、そういう展開?
***
「遠野ー…、起きてよ…、もう」
相変わらずのようにぎゅっと手を掴んでくる。
昨日のことがあるので、恥ずかしくてとても振り払いたい気持ちになる。
でも、彼の寝顔は可愛いんだ、とても。
ついこうやって、前髪を触ってしまうんだ。
…別に変態とかじゃないからね。
そこだけは勘違いしないでほしい、頼むから。
『………おはよ、』
「え、あう…おはよ…」
あれ、以外とあっさりだった。
いつものように不機嫌そうに手を見て、慌てて離したりしなかった。
すっと手を離して、いつもより少しだけ、ほんの少しだけ優しい口調で『おはよ』って言った。