無口なキミと同居します。
先輩の言葉に特に深い意味もないらしい。
今まで全く誰にも聞かれたこともないから、少し冷やっとした。
だって一度もまだ学校内で遠野と話したことないし、しかも彼のクラスは遠い。
遠目で見かけることはあってもすれ違う事すらないのだ、実は。
あ、でも蛍には遠野の話を聞いたことあったような無かったような…
「蛍経由ですかね」
「あ、そうかもしれないね」
とりあえずそんなうろ覚えな記憶で、蛍の名前を出しておいた。
…ごめん、蛍。
「あ、そろそろ始まるね」
「そうですね!楽しみ…」
映画の予告が始まり、お互いそれに釘付け。
すっかり私はスクリーンから目が離せなくなって、失礼だけど先輩と一緒に居る事すら忘れてしまっていた。
私がかなり単純らしい。