無口なキミと同居します。


先輩の言葉に特に深い意味もないらしい。
今まで全く誰にも聞かれたこともないから、少し冷やっとした。

だって一度もまだ学校内で遠野と話したことないし、しかも彼のクラスは遠い。


遠目で見かけることはあってもすれ違う事すらないのだ、実は。



あ、でも蛍には遠野の話を聞いたことあったような無かったような…



「蛍経由ですかね」


「あ、そうかもしれないね」



とりあえずそんなうろ覚えな記憶で、蛍の名前を出しておいた。


…ごめん、蛍。


「あ、そろそろ始まるね」


「そうですね!楽しみ…」



映画の予告が始まり、お互いそれに釘付け。

すっかり私はスクリーンから目が離せなくなって、失礼だけど先輩と一緒に居る事すら忘れてしまっていた。


私がかなり単純らしい。








< 136 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop