シンデレラに恋のカクテル・マジック
「どんなのか気になります!」
「じゃ、せっかくだからケーキを食べながら説明するよ」

 永輝が菜々を通すように一歩下がってくれたので、菜々は中に入った。リビング・ダイニングに行くと、オーディオから曲が流れている。その重厚感のある上質なストリングス・サウンドには聞き覚えがあった。

「これって、ゆずの〝虹〟ですよね?」
「そう。少し前の曲だけど、元気の出る歌詞が好きだし、みんなも知ってると思うから」

 永輝がコーヒーメーカーからカップにコーヒーを注いで、テーブルに置いた。菜々が砂糖とミルクを入れている間に、永輝がケーキを白い皿にのせてテーブルに出した。

「チョコレートケーキとショートケーキか。どっちもおいしそうだな」
「あの、何がお好きかわからなくて……」

 ほかにもいろいろあったのだが、久しぶりに訪れたデパ地下の高級感と人混みに圧倒されてしまい、結局、無難なものを選んでしまった。

 もじもじする菜々を見て、永輝が笑って言う。

「実は俺、こう見えて好き嫌いはないんだよ。何でもおいしく食べられる。でも、今日はチョコレートが食べたい気分かな」
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