シンデレラに恋のカクテル・マジック
　大樹の言葉に永輝が首を振った。

「そういうの、もうやめようと思う」

　彼の言葉に、大樹と健太がそろって永輝を見る。

「何だって？」
「そういう軽い付き合いはもうしないって決めたんだ。次は二度と離さないくらいのつもりで真剣に……本気で付き合いたい」

　永輝の言葉に大樹と健太が目を丸くした。

「へえ……」
「どういう心境の変化？」
「まあいろいろあるんだよ。テキトーに楽しく暮らすのは楽だけど、それって何て言うか……心の表面が潤うだけなんだよな。そういう刹那的なんじゃなくて、もっと心の深いところで……ずっと長く満たされたいって思ったんだ」
「なんだかよくわからん」

　大樹がつぶやくように言った。

「おまえにわかってもらわなくてもいいんだ。俺が気づいただけだから。ほら、さっさと注文を言え」

　永輝に催促されて、大樹と健太が注文するのを聞きながら、菜々は黙って考え込んでいた。

（永輝さんは穂乃花さんのことを吹っ切れたみたい……。よかった）

　彼が次に恋をするのはどんな女性だろう。穂乃花さんみたいに清楚で穏やかな印象の女性だろうか。
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