シンデレラに恋のカクテル・マジック
 彼のアドバイスに従ってみるが、上げすぎると今度はうまくキャッチできないのだ。その様子をじっと見ていた永輝が言う。

「そうだなぁ……一緒にやってみようか」

 そうして菜々の後ろに回り込んだかと思うと、背後から抱くようにして菜々の手に自分の手を添えた。

(ひゃっ)

 後ろから抱きしめられているようで、菜々の全身がカッと熱くなり、大きな鼓動が頭に響く。

(緊張する~!)

 そのとき、永輝が菜々の右手の甲のアザに気づいて、手の甲をそっと撫でた。

「練習、がんばったんだね」

 菜々はカチコチに固まっていて、うなずくのが精一杯だ。

「大丈夫。緊張しないでリラックスして」

(そ、そう言われても~)

 あまりの至近距離で彼の体温を感じて、手が汗を掻いてしまいそうだ。

 肩の上げ下げを繰り返して緊張をほぐす菜々とは対照的に、永輝は落ち着いた声で言う。

「一緒に投げるよ」
「は、はい」

 永輝の手に導かれるようにして菜々はボトルを投げ上げた。何度か一緒にやっているうちに、キャッチするタイミング、投げ上げる方向のわずかな違いがわかってくる。

「できそうな気がしてきました!」
< 123 / 278 >

この作品をシェア

pagetop