シンデレラに恋のカクテル・マジック
「料理はオススメコースでいいかしら?」
「はい」

 よくわからないので、その方が菜々もありがたい。

 そうして由香里の注文を受けて運ばれてきたのは、本マグロとアスパラのゼリー寄せや白インゲンのポタージュ、ハタのポワレ・トマトソースなど、新鮮な和の食材をフレンチのテイストで仕上げたものだった。

 くつろげる空間でおいしい料理を味わいながら、菜々は両親のことを話した。父の圭一が板前だったこともあり、由香里は菜々の両親の話に熱心に耳を傾けてくれた。

「生きてらしたら、私とも主人とも話が盛り上がったでしょうにね……」

 そうしみじみと言われて、菜々も切ない気持ちで微笑んだ。

 デザートの抹茶のムースが運ばれてきたとき、由香里が思いついたように菜々に尋ねた。

「菜々さんはまた大阪に戻るのよね?」

 叔母との楽しかった会話の中に、永輝に裏切られた痛みがまたしても蘇り、菜々はぎこちなく微笑む。

「はい……仕事がありますので」
「お仕事は大変?」
「あんまり大変だとは……思ってないんですけど……」

 菜々の様子が変わったのに気づいて、由香里が心配そうに表情を曇らせる。
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