イジワルな君に恋しました。
と、思ったのも束の間。
唇に柔らかいものが触れる。
それは一瞬で、すぐに我に返り顔を横に向け逃れる。
そのまま手で口を覆う。
「陽菜」
大希くんが私の手首を掴み、手をどかそうとする。
ダメ。
この行為は先輩を裏切ることになる……。
その時にフラッシュバックしてきた、大希くんの言葉。
そして、翼先輩が田辺先輩と腕を組んでた光景。
そのせいで、力が抜け手をどかされてしまう。
そして再び近づいてくる大希くんの顔。
「……陽菜」
ふいに名前を呼ばれた。
けど、この声は大希くんじゃない。