イジワルな君に恋しました。
ハッとして、私は勢いよく大希くんに掴まれた手を振り払い、距離を開ける。
そして振り返ると、そこにはひどく傷ついた表情を浮かべる翼先輩がいた。
「つば、さ……せんぱい……」
だけどすぐに翼先輩は何も言わず、私に背を向けて歩き出す。
もしかして、勘違いしたんじゃ……?
「翼先輩っ!」
泣きだしそうになりながら、追いかけようとするも大希くんに手を掴まれ、前に進めなくなる。
「……行くな」
顔は見えないけど、今にも泣き出しそうな声で言う大希くんの手を、私は振り払うことができなかった。