イジワルな君に恋しました。




ハッとして、私は勢いよく大希くんに掴まれた手を振り払い、距離を開ける。



そして振り返ると、そこにはひどく傷ついた表情を浮かべる翼先輩がいた。






「つば、さ……せんぱい……」





だけどすぐに翼先輩は何も言わず、私に背を向けて歩き出す。


もしかして、勘違いしたんじゃ……?




「翼先輩っ!」





泣きだしそうになりながら、追いかけようとするも大希くんに手を掴まれ、前に進めなくなる。






「……行くな」




顔は見えないけど、今にも泣き出しそうな声で言う大希くんの手を、私は振り払うことができなかった。







< 245 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop