イジワルな君に恋しました。
次々に入場してきている今、涙が込み上げてくる。
卒業してほしくないよ……。
先輩と会えなくなるのが嫌だ。
この学校で会えるのも、もう最後なんだもん。
そう考えるだけで、どうしても溢れ出してくる涙。
「入場の段階で泣いてる人、初めて見た……。
陽菜はそんなに翼先輩のこと想ってるんだね」
花香ちゃんが私を落ち着かせるように、背中を摩ってくれる。
涙で視界が歪む中、翼先輩が入場したのが見えた。
この学校で制服を着た先輩を見れるのは、今日が最後だからちゃんと見ておかなきゃ。
そう思い、涙を拭い今までで一番卒業式をしっかりと見ていた。