笑えるサンタ
絵本作家の君
口に含んだビールを呑み込む瞬間に
また直也さんがにやけながら言った。


「前に舞台を見に来た俺の知り合いなんだけど、優くんに会ってみたいって言ってさ。ほら、ノープログレム」


ノープログレム。
前に書いた脚本。


これも
僕が胸を張って世に出した
傑作だ。

いや。
終わってしまった今思えば
反省点がある。
だから僕は次々に脚本を書くんだ。



「会うのは全く構いませんよ。」

僕は前から
自分のファンと酒を呑んでみたいと思っていた。

自分が自信を持って世に出した物語を
全くの第三者が見るとどう思うのか。


「今回も2日目の公演の時見に来てたんだけど、優くん居なかったからさ。」

僕は基本的に初日と千秋楽に舞台を観に行く。


特に拘っている訳ではないが。
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