~Natu side~

俺は青龍が大好きだ。


この場所は俺に居場所を与えて
強くさせてくれる。

媚びるような奴も、現実しか眼にいれない奴も、そんな奴は誰一人だっていない。

優は少し怖いと思ったけど、そんな優でさえ仲間の事となると一番に考えてくれる。


俺はこの暖かさにしがみついてでも
一緒にいたいと思えた。


総長のレオはマジで格好いい。
俺の憧れでもあり、恩人でもある。

俺が青龍に入ったきっかけは、
レオが俺を拾ってくれたからだ。

当時、俺は親の虐待?っていうか、
放置されてた…。

飯はくれないから、親が残した残飯を漁っては“生きる”ためにそれを喰ってた。

親は俺と口も聞いてくれないし、
存在そのものを無視されてた…。

そんな事ぐらいなれれば平気だったが、
俺がお祝いさえもされない13歳の誕生日を迎えた頃…

両親が離婚して、俺を引き取るのはどっちかで争ってた。
生易しいモノじゃなく、俺を引き取りたくないからの争いだった。
目の前で俺が涙を流してるのも気づかないほど形相な顔で…。

結果、母さんの方が引き取ることになって
俺を見る表情に光を失わせた。

何度も悔やんだ…

何度も葛藤した…

俺が産まれた理由は何なんだ、と



俺を嫌わないでほしい、
愛してると言ってほしい、
俺を見て欲しい…

でもそんな思いは現実では叶うことは出来なかった。



月日がたち、俺が中2になる頃、
母さんが再婚した…

相手の男は娘も連れてきて、母さんと男はその娘をめちゃくちゃ愛情注いだ。

俺にはなかった、
小遣いや好きなもの…

あと毎日のように、上手いものをたらふく食べさせてもらえてた。

今も俺にはそんなことさえ、してもらえてないのに。

悔しかった…

でも俺の一応妹だから、優しく接するようにはしたが、その妹は俺を




蔑んだ…



親が居なくなると、妹は毎度のように
俺の部屋にノックもなしにズカズカ入ってきては、


『良いでしょー、この前ヴィトンのバックやネックレス、服なんか数えきれないほど買ってもらったんだ~♪
お兄ちゃんはなんか買って貰えた?
あーそっか、お兄ちゃんはうちの子じゃないから眼にも入らせて貰えないもんね~』


『うっせーよ、とっとと出ていけよ!!』

俺の心情を見透かしてるから
コイツはわざとらしく言ってくるんだ。


妹は俺を嫌っている…




『お兄ちゃんさー…





いらないから、消えてよ…♪』



妹の嘲笑うような瞳が
母さんと被って見えた…。




俺はその日中に、荷物をまとめて、親に隠れてバイトして貯めた金をもって
この場所から逃げ出した…。


俺の存在は今や闇に誘われるように
“死”に向かおうとしていた。


ずっと歩き続けて、見たこともないような景色に此処が知らない遠い場所まで来たことを余儀なく伝わらせた。

車の通る交差点から煩いようなクラクションやバイクの吹かし音が聞こえて、無意識に足がそこへ向かった。


時計見てなかったから正確には分からないが、多分1時を越したぐらいだと思う。





出来れば痛くない死にかたがしたいな…。



もう俺には、生きる力がない。

疲れた…








キキーーッ …ドンッ!!





この時確かに車に跳ねられたはずだった…







やっと解放される…


疲れた世界からおさらばだ…









天国はどんなとこなんだろうな…







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