君のために歌う歌
「ね!せっかくだから聴いて!」





陽翔は指をパチンと鳴らすと、テンションを変えてそう言ったので、宙子はそれ以上追及できなかった。






陽翔はギターをいそいそと取り出すと、ゆずの「友達の唄」を歌った。




友達の唄は、宙子も小学生のとき歌った事があったので知っていた。


しかし、もし知っていると言ったら、ゆずなだけに歌わされそうで恥ずかしかったので、宙子はその事は言わなかった。




陽翔の歌うゆずは、教室にいる時の陽翔を思い出させた。

明るくて、キラキラしていて、元気な陽翔だ。



陽翔は、それが偽りのような言い方をしたが、それだって、本物の陽翔に変わりないと宙子は思う。








陽翔が歌い終わると、宙子は精一杯の拍手をした。


陽翔は満足気にお辞儀をした。
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