君のために歌う歌
待ち合わせから10分ほど遅れて、改札を出る人波の中に見慣れた姿を見つけた。
郷愛はブンブンとSuicaを持った手をふり、改札を抜けると走って宙子に飛びついた。
「すまん待たせた!!!」
「もー、遅いよー。なかなかに気まずかったよ色んな人に見られて。」
高橋は走らずにやってきた。
「もう大丈夫だ宙子、コイツが視線を集めてくれる。」
「イエーイじゃじゃーん!」
「うん、改札出た時からすごいなと思ってたよ。」
郷愛の浴衣は、ミニスカートのように丈が短く、脚が出るスタイルの物だった。
「今日の私はカメコだからね!しゃがめないと困ると思ってな!」
「可愛いし気合は素晴らしいけど、郷愛のパンチラがカメコに狙われそうだよ…」
「大丈ー夫!スパッツ履いてるから!」
「そうゆう問題なのか……?」
「大丈ー夫!大いに楽しもう!」
心配そうな宙子と高橋をよそに、郷愛は元気良く歩き出した。