君のために歌う歌
「ねぇ何してるの?」


鋭く、冷たく、強く、






聞きなれたこの声は






紛れもなく陽翔だった。








「ヒロ……!!!!」




宙子の目に涙が浮かんだ。




「その子、俺のなんだけど。」




陽翔は見た事の無いような顔で、剃り込みとパーマを睨んだ。




剃り込みとパーマは小さな声で「やっべ」と言うと宙子を離した。


「い、いやぁ1人で寂しそうだったから……なぁ?」

「そうそう!俺らが一緒に見てあげよーかなー、なんて思って……」





「失せろ。」




更に厳しい口調で陽翔は言った。


宙子までもが、殺気すら感じた。



剃り込みとパーマは作り笑いのまま宙子から離れ、ライブハウスから出て行った。

出て行く瞬間、刈り上げは陽翔を睨み舌打ちしたようだった。


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