ごめん、好きすぎて無理。




何、言ってんだ…?




だって、お前は海の彼女……







『陸の事が好き。
 だから、こうしたの』



それは迷いさえ感じさせない、そんな言葉だった。







『……何?
 は?お前は海の彼女じゃん…?
 それなのに好きとか……』



俺は紗奈のキスに、言葉に、頭がパニック状態に陥る。



いや、それもそのはず、てか、突然現れて、何、この告白?








『海君は、陸に会うために利用させてもらった』




冗談、とか。

キス魔なもので、とか。


そんな笑える返事ではなく、紗奈は再び迷いのない答えを俺に突き付けてくる。








『……は、利用……?』




『そう、利用。
 どうしても陸に会いたかったから、陸に会えるように、海君と付き合ったの』




紗奈が言葉を吐けば吐くほど。

俺の脳は考えることをストップさせたかのように何も受け付けなくなる。





『陸、私、陸が好き』





そう言って、紗奈は俺の胸の中に飛び込んでくる。




その行動はまたもや俺の脳内を狂わせる。







『……何、言ってんの?
 俺、紗奈の言ってる意味も行動も分からねー…。

 お前は今、海と付き合ってんじゃねーの?』




俺は紗奈に、“そうだよ”と言ってほしくて、そう問いかけた。







『そうだよ?
 でも、それは陸に会うため、だから』




紗奈は期待通りに“そうだよ”と言った。


でも、その直後に再び俺の脳内を狂わせていく。







『…だからって、海の事、利用してもいいとか、違くない?』




俺はそう、紗奈に問いかける。


紗奈は俺の問いかけに、少し顔が強張った。
















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