彼と私の事情
「お、目が覚めたか。」
ひょこっと顔を出す課長と、もう一人。

(…だれだ、あの人。)
見覚えのない人が一人。

「…あれ?お母さまは…?」

「いま俺の家にいる。それより三河。
覚えてる?どうなって、ここにいるか。」

「…まったく。」

ほんとにまったく。なんだこの展開って感じ。

かいつまんで課長が話してくれる。

会社の前までお母さまを送ったら、私が意識を失ったこと。
その時にここが近いからそのまま運んだこと。

そうだ、その前に…
「…課長…後ろの方は…?」


ぴくり。と、その人の眉毛が動き、眼鏡を直した。

「立川学。俺のことはしらないだろうな。
入れ替わりで入ったから。」

「…そういうことだ。今は一緒に働いてるんだ。
たまたまこいつが外に出てきて、手を貸してもらったんだ。
家も近かったからな。」
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