いたずらヒーロー。
「明日、バレンタインだね。」


 翌朝家の前でゆうちゃんを待っていると、やけにご機嫌な様子で姿を現した。


「ゆうちゃん誰かにあげるの?」


 わたしが聞くと、ゆうちゃんは少し頬を赤く染めた。


「……高橋くん!かっこいいから!」


 初めて聞くゆうちゃんの恋のお相手に、わたしは少し興奮気味に返した。


「えー!!初めて知った!いいね、頑張って!」


 ゆうちゃんははにかみ笑いを浮かべると、今度はわたしに聞き返してきた。


「はるなは?誰かにあげるの?」

「えー、わたし?友チョコくらいかなあ。」

「えー、そんなのもったいないよ!成瀬くんは?」


 ゆうちゃんの言葉に、頭に成瀬くんの太陽みたいな笑顔が浮かんで、ぼっと顔が赤くなった。


「むむむ、無理だよ……。成瀬くんモテモテだもん。」

「そんなのやってみないとわかんないよ!」

「え〜……。」


 結局ゆうちゃんに押されて、放課後一緒にチョコを作ることになった。
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