赤いエスプレッソをのせて
彼女の診察室には、患者と彼女以外の人間はいない。
精神に個性的な感性を持っている人達は、時おり特殊な状態になるから、それを多人数の人間に見せたくないだろうと、そう気を配ってくれてるんだけど……
それは彼女が一番、私達のような人間を『常識』から疎外している気もする。
仲代先生は――ほかの精神科医がどうなのかは知らないけど――いつも、たとえ診察中でも、チョコレートをパクパクと食べてる。
なんでですかって訊いてみたら、落ち着くために、そう彼女は答えた。
冷静になるためには糖分を取ると感情を抑制しやすいとかなんとか、そう言うのだ。
そうして私がチョコレートを二、三個もらうと、
「さっ、今日も診察しますよ。いいわね、黒井さん」
仲代先生はいつもの、カジュアルとハードを組み合わせた調子で、そうのたまった。
精神に個性的な感性を持っている人達は、時おり特殊な状態になるから、それを多人数の人間に見せたくないだろうと、そう気を配ってくれてるんだけど……
それは彼女が一番、私達のような人間を『常識』から疎外している気もする。
仲代先生は――ほかの精神科医がどうなのかは知らないけど――いつも、たとえ診察中でも、チョコレートをパクパクと食べてる。
なんでですかって訊いてみたら、落ち着くために、そう彼女は答えた。
冷静になるためには糖分を取ると感情を抑制しやすいとかなんとか、そう言うのだ。
そうして私がチョコレートを二、三個もらうと、
「さっ、今日も診察しますよ。いいわね、黒井さん」
仲代先生はいつもの、カジュアルとハードを組み合わせた調子で、そうのたまった。