赤いエスプレッソをのせて
「ゃ、やだ……なんで、どうしたんだろ……私……うそ……」

拭いても拭いても止まらない涙に苦笑を交える。

「なんで、なんで泣いてんの……私ったら……ゃ、だ……もう、泣かないでよ……!」

仲代先生がじっと見つめているのをわかっていた私は、手にしたティッシュをギュッと握りしめて、顔に押し付けた。

どんどん涙を吸いとっていくティッシュが、グショグショになる。もう、溢れて、ほんとに、とまんない。

「どうぞ」

と、すぐ手元にティッシュが箱ごと差し出されるのが見えて、私は、ほんの一秒ぐらいで、できるだけたくさんのティッシュをむしり取った。

取った先から、ぐいぐい顔に押し当てる。

またそれも、涙でグショグショになっていく。

止まって、止まってよ、もう止まって……お願いだから止まってってば……!



その時、仲代先生がひとつ、長々と溜め息のようなものをついた。

それに、あきれた風な色合いは感じない。

ただただ、どうしてか、なにかを自分の中から抜き去るような、文字通り吐いた溜め息だった。
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