夜ー闇に隠された瞳の奥ー







「なに」



「………ッチ。走るぞ」



は?


頭が回らない。


と思う暇もなく、夏に手を掴まれて走り始めた。




『夏様ぁぁぁぁぁぁ!!!』














あー、なるほどね。






夜は美形か集まってるからその取り巻きか。





大変だね。

















ーーーーーー





バン!




走って逃げてきて、空き教室に2人で入った。





一応鍵もね。






てか、すごいな。




女子ばっかだし。





……なんか臭い。








私はきている服を嗅いだ。





「………うえっ」




「あ?」




「最悪だ。あの女どもの香水の匂いがついてる。臭い臭い。鼻折れる」




本当、最悪。




私はすぐにジャケットを脱いだ。



…よかった、中には匂いついてない。


てか私自分の香水つけてないから匂いの付きが良さそうでやだな。







「………夏は?」


「なにが」


「香水。つけてる?」



「まぁ、少しなら」





そらそうか。暴走族だもんな。




暴走族ってなんか、香水つけてるイメージ。







って、組もか。




「どんな匂い?」




気になる。





知り合いがつけてる香水って気になるよね。






「ん」




夏はそう言って腕を出してきた。




だから私は夏の腕に顔を近づけて嗅いだ。





…………あ。





この匂い好きだ。





いい匂い。









「ありがと。いい匂い。その匂い好きだ」




「さんきゅ。」





夏はそう言って微笑んだ。




………笑った。






「…なんだ。人の顔をじっとみて。」



すぐ不機嫌な顔になったけど。




「…笑ってたほうがかっこいいのに。もったいねぇ」





そう言うと「余計なお世話」と言われた。













さて。



教室の外も静かになってきたし、そろそろ出てもいいんじゃないか?







それを夏に言おうとしたら………








バン!





勢いよくドアが蹴られた。







「「!?」」







「あれ?人いる……ってみずなじゃーん!」







こいつ…骸のやつだ。この間の。


ヘンテコな紫頭が。




「…ッチ」




「あれー?舌打ち?俺とみずなとの仲じゃん!」



「お前と知り合いになったつもりはないが?」




それに、今日で会うの2回目だし。



「んもー、冷たい。」




「おい」






夏が口を開いた。








「テメェ誰だ?」







「ん?俺はー、骸って暴走族のものでーす!骸って知ってる?知ってるよねぇ、夜の総長様だもんねぇ」






あぁ、もう。こいつの話し方イライラするな。






「なんでみずなのこと知ってんだ」




「ん?それはすず…「やめろ!!!!!」」




私は咄嗟に叫んだ。






こいつが、"鈴木 ヤスナリ"という言葉を発しようとしたから。





こいつらには、知られたくない。




知る必要はないんだ。




「……みずな」




「あれー?もしかして言ってないの?まぁいいよ。俺がここで…『バキッ!』……っ。いったぁ。」






手が出た。



殴ってしまった。




こいつが、言おうとするから。





全てを。






って、私はなにをやってんだ。




「……わりぃ」




「あ?わりぃで済むわけねぇだろ。この糞が」




ッチ。




怒らせたか。面倒だな。






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