私の仕事と結婚
「やっぱりあなたが桜井さんでしたか。先ほど渡した俺の名刺借りますよ。」

まだ机に置いてある自分の名刺を野崎さんはスッと取り上げると、裏に何かを書き込んでいる。

「俺の携帯番号書いておきます。連絡下さい。」

「えっ?」

聞き間違いじゃないよね。

「分かりましたね?」

よく分からないまま、その名刺を野崎さんから受け取る。

ちょっと呆然としながら、野崎さんを玄関先まで送っていく。

「待ってますからね。連絡下さいね。」

立ち止った私の方をくるりと向くと、念を押すかのように野崎さんはそう言って、去って行った。










< 12 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop