私の仕事と結婚
あの仲直りの後から時間が許す限り、お兄さんの設計事務所を手伝っている。

結婚と入社希望の挨拶をしに行った時、お兄さんはにっこりと笑って、

「大歓迎ですよ。随分返事が遅かったですがね。」

と言ってくれた。

「時間あるよね?」

典弘は何かを差し出した。

「これ…。」

婚姻届だった。

「もう歩夢の名前と押印だけで出せるから、役所に寄っていこう。」

よく見ると、証人欄には典弘のお父さんと私のお父さんの名が記入されている。

「こないだうちの両親と歩夢の両親と食事会をしただろう?その時内緒で書いてもらった。」

 そして私の手をぎゅっと握る。

「会社を退職した日に入籍したかったんだ。新しい歩夢と一緒に歩んでいきたくて。 結婚式は…。」

「どうしたの?」

ちょっと言いにくそうな典弘の様子。

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