9歳差は、アリですか?
振り向いた先にいたのは3カ月前より少し大きくなったように見える浅岡だった。二人の距離はだいぶあって間では他の生徒たちが行き来してたがそんな物は眼中になくじっと見つめ合う。

「涼子、さん。ーーー来てくれたんだ」

浅岡がどんな表情しているのかが分からない。それは目が涙で滲んで前が見えないからだ。

「悠くん…、」

言わなきゃ、ちゃんと。言わないといけない事を。立原は震える唇から息を吸った。

「ごめんね、あたし酷い事言った。ずっと謝りたかったの」

謝れたが、次が続かない。あるでしょうもう一つ言う事が。自分に言い聞かせながら目をぎゅっと閉じた。

「本当は好き。あたし悠くんのこと好き」

頬を涙が伝う。泣くなんて何年かぶりだ。しかし、やっと言えた。付き合っている時もきちんと言えなかった「好き」。ようやく言えて、立原はにこりとやっと笑えた。

「悠くん、卒業おめでとう。これ、捨てて大丈夫だから」

くちゃくちゃになってしまったプレゼントを立原は一歩進んでから腕を伸ばして差し出した。受け取ってもらえなくても、もう大丈夫だ。会えただけで、謝れただけで、それでいい。
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