9歳差は、アリですか？
✳︎

「ねえハルくん？ちはるあそこのカフェ入りたいなあ」

自分の腕に華奢な腕が絡まる。恐る恐る見ると上目遣いで見上げてきていた。浅岡は顔が引き攣らないように自重して愛想笑いをする。

ーーーーーーああ、面倒くさい。

遡ること一カ月前。知らない女の子に告白された。もちろん、自分がモテるという自覚は浅岡にはないのだが、それなりにモテ、よく告白される事はあった。
しかし今までは立原一筋で他に目もくれなかったが、今となっては振られた身だ。それでなんとなくでOKしてしまったのだが、

ーーー女の子って恐ろしく面倒くさい。

魂を吸われてしまいそうだ。突然教室にやって来て一緒に帰ろうと言われ、帰り出したら腕に絡んでくるし、上目遣いもなぜしているのかよく理解できない。
立原とは何もかも違う。まず、高3で一人称が「ちはる」ってやばくない？あと教室での声と全然違うし、甘ったるくて気持ち悪い。
浅岡は今まで立原にしか興味がなかったせいで、普通の人にはあるはずの感情が欠落していた。数ヶ月だが付き合っていた立原は色々とドライだったのもあり、普通の彼女に耐性がない。
付き合っている人からされたら嬉しいと思うような事が、ズレている浅岡には全く通じなかったのだ。むしろ、なにこの子、気持ち悪い。とマイナスになっていた。

涼子はそんなんじゃなくて、綺麗で大人でさっぱりしていて、ーーー理想的だった。

深くため息を吐いて「一応彼女」を見た。
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