9歳差は、アリですか?
それなりにイケメンだからだろうか、皆が興味津々に笹山を見ている。誤解されるのだけはごめんだ。それで会議の際座った時も、わざと距離を取る。

「名古屋支局からの報告は以上です」

立原が報告したが、笹山の締めで終わり、会議自体もそれで終了した。

「立原、もう帰るのか」
「立原さん飲み行こうよ!」
「折角戻ってきたと思ったのによ」
「早すぎ!もうちょっといなよ」

同僚に惜しまれつつ帰る。ほとんど不純な理由からの惜しみのお言葉だが。

「雑用係とかお茶係、まとめ役のクッション材としか人の事を思ってない口が何言ってるの」

立原も珍しく軽快に返した。

「立原さんモッテモテだね。いろんな意味で」

笹山も笑いながら本社をあとにした。駅まで並んで歩いていたが、周りからは何の抵抗もなく、恋人と見られているんだろうなと内心ため息をつく。よっぽど浅岡との恋人関係より現実的なカップルだ。
しかし、浅岡でなければダメなのである。駅に着き新幹線の時間までの間自由行動となったが、立原は少し躊躇したものの、浅岡と行ったカフェにゆっくりと一人で入った。
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