小さな恋物語
「だって、私のバイト先は海斗の大学からもバイト先からも遠回りだし、なのにちょこちょこ来るじゃない?今日だって予定あるのかって聞いてくるし」
「それだけで?」
女の勘てやつなのか?
望花は俺から視線を逸らすと、ちょっとバツが悪そうに視線を泳がせたあとまた戻った。
「っていうのは言い訳かな。私、海斗のこと――」
「ちょ、待って待って待って」
思わず大声を出してしまって、行き交う人達の視線を感じる。そもそも駅前でするような話でもないのに。
「それは俺が先に言う。言わせて」
「…じゃあ、どうぞ」
俺は心臓が飛び出そうなほどドキドキしていて、望花の顔もちょっと緊張してる。
「望花が好きだから一緒にいたいなって思ってる。クリスマスだけじゃなくて、これから先も俺と一緒にいてください」
握ったままの望花の左手が俺の右手を握り返してくれる。