小さな恋物語


「なぁ、次の休み、空けといて」


瑞樹が立ち上がってしまって背中しか見えない。
だけど声色から少し緊張していて、少し照れていることが分かる。

こんな細かいことが分かってしまう私も、瑞樹のことを一番よく知っているということになるのかな?


「…映画?瑞樹は連れて行かないもん」

「ばか。俺が連れて行くんだよ。今日だってそのつもりだったのに…。言っとくけどデートだからな。オシャレして来い!じゃあな!」


吐き捨てるように言うと瑞樹は部屋を出て行ってしまって、ドドドドドと階段を駆け下りる音が聞こえてくる。


デートって…デート?付き合ってる人がするやつでしょ?


「おばちゃーん!俺、芽々と付き合う!よろしく!お邪魔しました」

「えっ、ちょっと何?!瑞樹くん?」


玄関のドアがバタンと閉まると同時に私は急いで窓を開けた。


「コラァ!瑞樹!勝手なこと言うな」

「元気あるじゃん。もういいだろ、結局最後はこうなって落ち着くってことで」


くしゃくしゃの飾り気のない笑顔で、瑞樹が偽りなく笑っていることが分かる。

家に帰って行く瑞樹の背中を見ながら、本当は昔からずっと瑞樹を好きだった気持ちを解放した。



End

< 118 / 118 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:11

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

塩顔男子とバツイチ女子
みすり/著

総文字数/133,135

恋愛(ラブコメ)191ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「なつみさん、ごめんね。俺の嘘のせいで」 「…別にいいんじゃない?今、楽しいし」 些細な嘘から始まった二人で過ごす日々。 相楽 北斗(21) Hokuto.Sagara × 市川 なつみ(28) Natsumi.Ichikawa
満たされる夜
みすり/著

総文字数/24,993

恋愛(オフィスラブ)68ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あの夜、私はあなたに抱かれた。 “その夜”だけでいい。 私を愛して、満たしてください。 田崎めぐみ Megumi.Tasaki × 伊丹裕二 Yuji.Itami 課長と部下の一夜。 start♢2014.04.23 end ♢2014.05.04 *氷川真紗兎さま* *youkaさま* レビューありがとうございます! たくさんの読者の皆さまに感謝の気持ちを 込めて アナザーストーリーをアップしました。 良ければお読み下さい。
星降る夜に。
みすり/著

総文字数/79,617

恋愛(純愛)171ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
東京から遠く離れた南国にある、リゾートアイランドで出会った一組の男女。 二人は意気投合し、島での3日間を共に過ごし、一夜の愛を交わす。 互いが東京に住んでいることを知った彼は、東京でも会わないかと提案するが、彼女はそれを拒絶する。 「私は夢を見たかっただけだから」 しかし二人は再会…。 彼女は3ヶ月後に結婚を控え、彼は最後の恋へと踏み出す。 吉岡 大輔(37) × 宮坂 莉子(27) 運命の恋が始まる。 ♢start 2014.07.31 ♦end 2014.12.16 Berry’s Cafeオススメ作品に選んでいただきました! ありがとうございます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop