小さな恋物語




先輩と知り合ったのは私が入学して間もない頃。まだクラスメイトにもなじめなくて、肩の力が抜けなくて、1人になりたくて辿り着いたのが屋上だった。


制服が汚れることも気にしないで仰向けに寝そべって、雲一つない晴れ渡った青空を見ていたとき。



『あれ~?そこ、俺の“いつもの場所”なんだけど。新入生?』


私の顔を覗き込んできた先輩はニコッと笑って隣に座った。

足音もなく近づいてきたことにもびっくりして飛び起きると、先輩はこっちを向いた。


『俺、2年の倉本大貴。名前教えてよ』

『山崎亜実…1年です』


先輩は仰向けに寝転ぶとすぐに目を瞑ってしまった。

いつもの場所って言ってたから、ここは先輩のお気に入りの場所なのかな…。
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