小さな恋物語
「橋本くん、だよね?」
「そうです。のぞみさん、仕事帰りですか?」
「うん。でも電車降りたらこの雨で。橋本くんは?もう遅い時間だけど」
すでに22時をだいぶ過ぎている。
「そこのコンビニでバイトしてて。その帰りです」
「そうなんだ。雨すごいから気をつけてね」
「のぞみさん、入っていきません?しばらく止まなそうだし。途中まで一緒じゃないですか」
橋本くんは、どうぞと言って傘を向けてくれる。
「じゃあ、途中のコンビニまで入れてもらえる?そこで傘買う」
「どうぞ」
このままずっと雨宿りしているのも嫌だったし、素直に傘に入れてもらった。
「よく私に気づいたね」
「たまたまっす。もっと奥の方にいたら分からなかったと思います」