小さな恋物語


「…お茶くらいなら」

「マジですか?」


さっきまでの色っぽさはどこへやら、爽やかな笑顔になって喜んでいる。


「あ、コンビニ見えてきた。入れてくれてありがとう」


さっきよりは少し雨が弱まってきたから、傘を買って急いで帰ろう。と思ったのに、橋本くんに腕を掴まれた。


「家まで送って行きます」

「えっと、傘買わせて。橋本くん、肩濡れてるし」

「俺はこの方がいいんですけど。のぞみさんが隣にいる方が嬉しいです」


ずるいなぁ。こんなにストレートに言われたら敵わない。

私たちはコンビニを通り過ぎて、ひとつの傘に入って帰った。


次に会うとき、彼はどんな表情をするんだろう。


End


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