小さな恋物語




勇太はいつも明るくて誰とでも仲良くなれるし、スポーツ万能で、勉強は苦手だけどそれがギャップ萌え?とかで、そこそこモテる。
告白されているところを見た事もあるし、私と勇太が仲が良いと知った下級生の女子にお膳立てを頼まれた事もある。でも未だ勇太は彼女を作らない。


私達が仲良くなったのは、入学した時に同じクラスで隣の席だった勇太が私に話しかけてきた事がきっかけ。


『名前、何て読むの?みはね?みう?』


それから勇太は毎日話しかけてきて、消しゴム貸してに始まり、気づけば連絡先の交換をして、一緒に帰ったり放課後に出かけたり…いつの間にか男女を越えて仲良くなってしまった。


だからいつの間にかクラスメイトはみんな私達が付き合っていると思っていたらしい。クラスが違う今も予定が無ければ一緒に帰るし、忘れ物をした時は貸し借りするし。


「ねえ、何でリュック、色違いの買ったの?」


少し先を歩く勇太に投げかけた。

勇太が背負っているリュック、私と色違い。

私はピンクで勇太は青。私が先週リュックを新しくするとその翌日、勇太は色違いを買ってきた。
何の変哲もないごく普通のリュックなのに。


「いいじゃん、別に。もうボロボロだったし」

「下級生の子たちに付き合ってると思われてるんだよ」

「俺は別にいいけど。言わしたいヤツには言わせておけば。あ、ここじゃね?」


勇太はカフェの前で立ち止まった。パンケーキが美味しいらしい。甘いものが好きな私のために勇太がいつもリサーチしてきてくれる。
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