小さな恋物語



「…まぁ、進路のことで」

「あー、先生と話してたんだ」


私達はこの夏、受験勉強で終わってしまった。夏期講習も受けたし(結果はそこそこだったけど)、でも本番までまだ時間はある。


「美羽は大学だろ」

「そうだけど、勇太とは行く所が違うよ」


私は栄養士になりたいからその勉強を出来る大学に行く。勇太はいくつか候補を上げているみたいだけど、まだ絞り切れていないらしい。


「よし、終わった」

「美羽、時間あるだろ。ちょっと付き合って」

「家帰ってのんびりしようと思ってたんだけど」

「ダメダメ。夏休み何もしてねーんだから遊ばないと」


…勇太は夏休みだってそこそこ遊んでたと思うけど。プールに海にバーベキュー、それから花火大会にお祭り…。誘われたけど私は人混みが苦手だしバイトもあったから断ってしまって。
唯一行った夏祭りは私の友達と勇太の友達も一緒だったから、賑やかだったな。


職員室に日誌を届けてから私達は学校を出た。

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