小さな恋物語



「ほのちゃん、チョコレート食べる?冬限定の苺味だよ」


私の目の前に座っているこの人は、純粋そうなくしゃっとした笑顔で聞いてくる。ちょっとたれ目の優しい顔で、ふわふわしたパーマがかかっていて、何というか…犬のような。


「あ、それともチョコパイ?クッキーもあるけど」

「…藤川くん、苺好きなの?」


机の上に広げられているチョコレートもチョコパイもクッキーも全部、苺味。


「好きだよ。美味しいじゃん。ほのちゃんは好きじゃない?」

「あれば食べるって感じかな」

「それなら食べようよ。ここにあるんだし。あっ、今度一緒にケーキ食べに行かない?駅前のカフェのケーキが美味しいんだって」

「ケーキかぁ…」


今の時期ならモンブランが食べたいなぁ。大きな栗がのってるやつがいい。


「ほのちゃんはどんなケーキが好き?僕はやっぱりショートケーキ」


こうして毎日繰り返されるお昼休みの光景はいつから始まったんだっけ…。


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