溺愛オフィス


「走れば間に合いますから」


そう、微笑みとともに断ったんだけど、桜庭さんはジッと私を見つめながら口を開く。


「信号のタイミングや何かしらのアクシデントがあれば乗れなくなるな。そうなればタクシーで高額料金コースだ」


うっ、それは痛い。

何度か間に合わずにタクシーを利用したことがある。

あの出費は本当に痛い。


「タクシーに金払うくらいなら、俺に缶コーヒーでも奢れ」


エレベーターが一階に到着し、桜庭さんはすぐに扉を閉める。

続いて、地下に到着すれば、桜庭さんはさっさと先に降りた。

そして、顔だけで私を振り返ると、行くぞと、促される。


どうやら、私に拒否権はないらしい。


私は急ぎ、桜庭さんの背中を追ってエレベーターを降りた。


桜庭さんの車は、エレベーター近くに停めてあった。


真珠のような白色の綺麗な車は、オープンタイプで、二人乗り用だ。

フロント部分のエムブレムはBMW。

……なんだか高そう。


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