溺愛オフィス
「もういっそ、別のモデルでもいいんじゃないの?」
「それが、そうもいかないんだ」
美咲の提案に、私は首を横に振る。
そして今朝、壮介君と一緒に桜庭さんから聞いたことを美咲に教えた。
別のモデルにするという案は、桜庭さんも社長に提示したのだ。
仕事に私情を持ち込み、トラブルを起こす様なモデルは使うべきではないと。
「でも、社長は首を縦に振らなかったの」
「何でよ?」
美咲は不服そうに唇を突き出す。
「新ブランドのイメージや話題性を考えると、KAORIさんがいいんだって」
譲らなかった社長の気持ちは私も理解している。
確かに、新ブランド"CaN Do"のイメージは、KAORIさんがピッタリだ。
撮影をしてる彼女を見た時、私もそれを強く感じた。