溺愛オフィス


どうやら二人は撮影の予定があり、すでに事務所を出てしまったらしい。

しかも、今日はもうここには戻らないと聞かされて。


仕方なく、私はポップコーンを受付の人に預け、ビルから出た。


もしかして、体よく追い払われた……のかな?

なんて、暗い考えが過ぎる。


……でも、謝ることはできた。

それに、今日はKAORIさんから「仕事はしない」という言葉は聞いていない。

だったらまだ、頑張れる。


「とりあえず、報告しよう」


人々が行き交うオフィス街の中、私はひとりごちるとスマホを取り出した。


次こそは、いい返事をもらえるようにと



祈りながら。














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