溺愛オフィス


美咲はモテる。

とってもモテる。

通りすがりの男の人たちがみんな視線を送るくらい、可愛い容姿を持っているのだ。

ファッションもメイクもヘアスタイルもいつも完璧。

加えて、狙った獲物は逃すことがないという恋愛テクニックも持っている。

何に対しても欲しいものは手に入れたい主義の彼女は、本当にそれに対しての努力を欠かさない。

そこは凄いと思うけど……

彼女と出会って数年。

美咲の彼氏の数は多すぎて、私は彼女の歴代の彼氏の名前をちゃんと記憶できないほどだ。


「心配してるだけだよ」


お説教なんてする気はない。

そう伝えながら、デザートのヨーグルトをスプーンで掬うと。


「あたしは柊奈(ひな)の方が心配だけど」


話の矛先を、こちらへと向けられた。


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