ハートブレイカー
咄嗟に起き上がろうとしても、彼が背後からガシッと抱きしめて動けない。
力の差に任せて無理矢理なんて・・・この人らしくない! ってタカをくくっていた私がバカだった。

彼が私のTシャツをめくる。

「いやっ!やめて!」
「シーッ。大声出すと、直哉が起きる」

咄嗟に口をつぐんだ私は大バカ者か。

余裕の囁き声が耳元で響く。
ブルッと震えた私は寒いのか、それとも熱いのか。
分からない。

彼は私のうなじに何度もキスをしながら、あらわにした私のおなかをなでる。
そこは熱いけど、ゾクッとして鳥肌立って・・・。
ブルブル震える。

「や・・めて。おねがい、やめて」
「これ以上は何もしない。だから俺を怖がるな」
「こわ、がってな・・・い」
「そうか。じゃあ俺を・・・信頼してみろ」
「こ、こんなことして、信頼とか!」
「シーッ。大声出さなくても聞こえてる」

彼が足を絡ませてきた。
マッサージされたせいか、体に力が入らない。
簡単に彼の言いなりになってしまう自分の体を呪いたい。

このぉ・・密着・・・しすぎ!

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