ハートブレイカー
「正則の最大の誤算は、三井に俺を“監視”させたこと、そして三井の最大の誤算は、俺と正則を同格に見ていたことだ。二人とも愚か過ぎる」

三井さんは、本当は正則氏の秘書をしたかったそうだ。
家庭持ちの正則氏と、できるだけ一緒にいたいという恋心か。

でも、社長命令とあれば仕方がない。
それに、好きな人から「重要な任務」を任されたんだ。
俄然張り切るのが恋する女の心理というものだろう。

しかし実際は、三井さんが彼を監視するのではなく、彼が三井さんを監視していた。

三井さんと正則氏ができてるというのは、一部の役員も知っている公然の秘密。
しかも正則氏の奥様も、三井さんが愛人であることは知っていた。

でも、愛人である三井さんが妊娠するのは、許されないことだった。

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