ハートブレイカー
『いくら海堂の人間とはいえ、新参者の朔哉(さくや)がいきなり社長になるのは納得できない。社員の士気が削がれるし、信頼もなくなる』

数年前、次期社長を彼にするか、正則氏にするか揉めていたとき、 正則氏はそう力説し、役員たちの同意を得て、結局自分が社長の座におさまったそうだ。

彼がそのときあっさり「どうぞ」と退いたのは、彼の言葉を逆手に取ったため。

確かに、正則氏が言ったことにも一理ある。
そう考えた彼は、社長の座を正則氏に譲る代わりに、営業本部長のポストをくれと言った。
営業部は会社の要。
そこを押さえて社員の信頼を得ること。
そして会社を知り、社員を知り、業績を上げること。

約4年の間、彼はそれらを忠実にこなしながら、正則氏の動向を気づかれないよう探っていた。

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