ハートブレイカー
「松本様、浪川様。お待たせいたしました。こちらへどうぞ」
「はいっ」と私たちは元気よく返事をして立ち上がった。

私はやる気満々だった。
意気込み十分だった。
でも、そんな私の意気込みは、顔合わせの部屋へ通された瞬間に、あっけなくなくなった。
やる気は見事に砕け散った。粉々に。

なぜなら・・・そこにいた海堂商事さんの中の一人に、見覚えが・・ ・ありすぎる、から。

「浪川さん?」
「あ・・・」

入口で立ち尽くす私を、案内嬢が入るよう、それとなく促す。
でも私は、それ以上先に進めなかった。

なんで・・・なんで氷室さんがここに、いる・・・の。

< 26 / 223 >

この作品をシェア

pagetop