ハートブレイカー
「また俺に会えて嬉しかったか?」
「な・・・」

だから、追いうちかけるようなこと言わない・・・あ、しまった。
ついカッとなって、彼の顔を見てしまった。

飄々としたポーカーフェイスを。
息子そっくりな顔を。
いや違うか。 直哉が彼に似たんだ。

「倒れそうになるほど喜んでもらえて、俺も嬉しいよ」

う、嘘だ。
今のは絶対嘘!
あんた、ちっとも嬉しがってない!
いくら無表情でも、面白がってる声でよぉく分かりますから!

でもそのセリフで、私は現実に舞い戻った。
顔合わせ直前で倒れそうになったという失態をしでかしたこと。
そして、いまだに彼の腕が私を支えているということ。
逃避してる場合じゃなかった!

< 30 / 223 >

この作品をシェア

pagetop