ハートブレイカー
「だ、大丈夫、大丈夫・・・です」

「大丈夫、大丈夫」「がんばろ」は、私と直哉の合言葉だった。
この言葉を唱えながら、二人で幾多の困難をも乗り越えてきた。
そうやって私たちは生きて、今年で4年目になる。

身をよじり、彼から離れて自分の力だけで立った。
そして彼をひたと見据える。

「申し訳ないのですが、体調が優れないので、ここで失礼させてい ただきます」
「確かに、君の顔色は優れないようだ」

お気遣いありがとうございます・・・。
他のオジサマたちから、なにやら不満気な声が聞こえる。
そりゃそうだろう。 体調不良な女なんて雇っても、会社側には不利なだけ。

だったら、逆にそれを利用させてもらおうじゃないの。

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