ハートブレイカー
正直言うと、このアパートはすぐ出て行きたい。
一刻も早く。

『よぉ姉ちゃん。今日は帰り早いなぁ。どうだ、俺と一緒に飲むか?今日明美の帰りおせえんだ』

濁った目、たるんだ腹、生気のない顔。
3件隣の岸本さんは、明らかにお酒の飲みすぎだ。
さすがに3歳の直哉も怖かったのか、つないでいた私の手をギュッと握り返してきた。
今はまだ、いやらしい目で見られる程度だけど、今日初めて声かけられて・・・ぞっとした。

『やるなら今だ。絶好のチャンスだぜー。壁薄いから、あんまり声出すなよ』
『結構です』
『ママ・・・』
『行こ』

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