ハートブレイカー
「何してんのよ!」
「だって、おまえの帰りがおせえから・・・」
「うるさいっ!他の女に手を出す暇があったら働け!」

ああ、それごもっともなんですけどー。
岸本さん、耳が痛いねぇ。
感心している私を、明美さんはキッと睨んだ。

な、なんで私が睨まれるの?

「あんたも。人の男に手を出すんじゃないよ」
「な・・私は・・・」
「次見たら、あんたたち殺すからね」

この人、本気だ。
恋に狂った女性の心理はよく分からない。
それに、どうしてこんな人に惚れるのかも、私にはサッパリ分からないんですけど。

「ママぁ」

窮地を救ってもらったのはありがたいけど、今にも泣き出しそうな直哉の声で、私の中に怒りのスイッチがオンされた。

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