ずっと好きだった。
聞こえなかったことに…

聞き流そうとしたら、グッと腕をつかまれた。

「聞こえてんのかよ?」

「あ、え?なに?」

あたし、わざとらしいな。

「一緒に帰るぞ。」

「え、うん」

雨が降ってた。

「うわ。最悪だな。平瀬かさもってるか?」

「持ってるけど、小さいよ?」

「だよな。平瀬も濡れちゃうもんな」

困ったように頭を抱える翔馬。

「みちる。」

この声って…。

あたしの目の前にいたのは、遥だった。

「なんで、遥がここに?今日は来ないって…」

「ちょっと心配で」

そっけなく言う遥。

多分。この状況を予想してた…ていうことだよね。

「翔馬、俺の女に手ぇ出すな。

いくらお前でも許さねえぞ」

「指図される覚えはないっす」

2人の間には、亀裂が生じてる。

あたしのせいだよね、これは。
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