いつもそれは突然で
騒がしい朝の始まり
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。

朝から高い音で私の頭の上でアラームが鳴り響く。
これが私の寝起きが悪くなる理由。

もっと違う起こし方だったら私だってちゃんと起きるのに。
例えば好きな先輩の声で…とか。

好きな榎本先輩の声なら私だって。
いつもそんな夢みたいなこと言ってって友達に言われちゃうのがオチだけど

いいじゃん、叶わないことなんて私が1番よくわかってるよ。

叶わないってわかってるからこそ…夢見ちゃうんだもん。
女の子だって夢見てもいいじゃん。

誰だって夢の1つや2つ見てるでしょ。

私はまだ目を閉じたままアラームを止めた。
遠いところに置いててもイライラするだけだから近くに置いてる。
でも時間はまだ5時半。

私は6時にセットして次はベットのしたに目覚まし時計を置いて
6時に起きて歯を磨いて今日はこうしてって考えてるうちに寝ちゃった

この時に起きてればなんてやらかしちゃった時にしかわからないよね。

それから何時間か経ってまたアラームが鳴り響いた。

「ううんんんんんん」

そう言って私はアラームを止めようとした。

「葵、何時まで寝てるの!?」

多分お母さんの声。
なんか怒ってる?

「いつまで寝てるの!先輩行っちゃたよ」

先輩…行っちゃった…!?!?
なんで!?本当にわけわかんないんだけど

バサって起きて時計を見ると8時少し前。
先輩はいつ行っちゃったの?もう追いつけないほど前?

一気に私の世界が波を打つ。
私は涙を拭いて部屋を出ようとした。

その時何かを踏んだ。

「いっったああああああああああい」

目覚まし時計の尖ってる部分を踏んじゃった。
そうだ、ここに置いたのは私だ。

恨むなら自分を恨めとか思いつつ。

「早くしないと」

激痛の走る足を引きずって廊下に出た。
片手にはカバンを片手には制服とかを持って。

「お姉ちゃん待って!」

その言葉は届かず。
私は派手にリビングにつながる扉に激突した。

少し脳震盪を起こしそうになったけど私は負けじと前を向いた。

「先輩は!?」

「行っちゃったよ」

ママはせっせかとお弁当を作りながら言う。
時間を見るとその時間は先輩といつも待ち合わせをしてる10分も後の時間だった。

明らか急いでも届かない。先輩には。

私は急いで髪の毛を巻いた。
今日ほどなかなか負けないのはなんで!?

ケガだってするしもう最悪だよ。

私は急いで用意を済ませて家を出た。

そうだ、今日は新しい靴下をおろしたんだった。
私は廊下で滑ってまたまた派手にこけた。

「いったあああああい」

本日何回目の悲鳴?

それから私は自転車に飛び乗って学校へと向かった。

今日に限って黒のセーター。
夏の日差しが太陽の熱を集める。

今日に限って嫌なことだらけ。
全然運がついてない。

今日はまだ始まったばかり。
一体これから何が起こるの!?

私は自転車を全力で漕いでいつもの交差点に差し掛かった。

そうだ、思い出した。
私が今日早起きしようと思ってた理由。

先輩とお昼ご飯を一緒に食べる約束をしてたからだった。
お弁当を自分で作ってきて交換する約束をしてたから。

それに、私の自転車壊れてたんだった。
本当は昨日自転車を修理に出しに行こうと思ってたんだ。

でも、雷が鳴ってて怖かったから行けなくて
だから朝先輩の自転車の後ろに乗せてもらおうと思ってたのに。

すっかり忘れてた。
でもきっと、ちょっとくらい大丈夫だよ。多分。

私は坂道を下りてる途中必死でブレーキを握り締めた。
だってかかるもんだって思ってたから。

でもこんな日にそこまでうまくいくわけなんてなくて。

ブレーキは全く効かなかった。
私はそのまま自転車の速度は早いまま交差点に突っ込んでいった。

なんで?私このままどうなっちゃうの?
私は怖くて目を閉じた。

自転車のブレーキを握る手は諦めモードで。
ただただそうやって自転車が進んでいくのを待ってた。

ふと目を開けると周りの人が恐ろしいものを見るような目で
私のことを見ていた。

私の頭にはきっとこれがそうなんだろ思う。
ゆっくりと回想場面が流れていた。

所謂走馬灯。
私はいまはっきりと認識した。

私の生涯はこの歳で終わっちゃうんだ。

右側から大型トラックが突っ込んでくるのがわかった。

こんな時って1秒がすごく長いんだね。
普段の一瞬は1秒だけど粉の時の1秒って秒くらいに感じる。

怖い。
じわじわと大型トラックが近づいてくるんがわかるんだもん。

私は今私の生涯が終わる瞬間を確かにこの目で見てる。
これほど怖いことはないよ。

でも確かに私は聞いたんだ。
Eメールを受信した音を。

私の右側に激痛を感じた。
いままでに感じたことのない痛みを。

それから私は意識を失った。

もう先輩に会えないんだ。

そう思うと涙が溢れて仕方がなかった。

< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop