桃の天然水‐桃天!‐

国語が終わって、休み時間。
次は、大嫌いな数学。


「…どう違うのか、全く分かんない」

りっちゃんが冷めた目をしながら呟いた。
比べてる対象は、「妄想」と「素敵空想の世界」だと思う…たぶん。


「なんでー!?ぜんっぜん違うよ!!」

あたしはバンッと机に手をついて抗議した。
りっちゃんはますますどうでも良さそうな顔になった。

「違い説明できるの?」
「違い…って、う…ん…?」
「桃笑えるー」

違い?
違い違い違い…

「お…思い付かない…!!!?」
「ほら」
「ああたあたしとしたことがッ!!」
「や、ワケわかんない」
「でも、とにかく違うの!!妄想は変態ちっくだけど、素敵空想の世界はキラキラしてる爽やかな春風とはなの香りが!!」
「はぁ?」
「あぁあ…王子様…!!」
「トリップしないでよ…」





放課後。

「りっちゃんー帰ろっ」
「桃は図書室でしょ?」
「はイ?…なんで?」
「え、忘れてるの?」
「………」
「………」
『え?』



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