イチコイ日誌~苺色の恋記録~
 
 身長が高く、体格はむしろいいほう。


 少し貧血の気があるからって、ひとまずベッドに座らせるけれど、それ以外は至って健康体。


 そんな彼が、常連の座をダントツで勝ち取ったのは、おっちょこちょいな性格が災いして……らしい。


 やれ体育で突き指しただの、やれ調理実習中に包丁で指切っただの。


 ちなみに今回は後者。


 本当に……目が離せない生徒なんだから!



「あたた! 痛いです先生!」


「傷口押さえた程度で、人間死にゃあしないわ」


「ケガ人をバッサリ斬りますねぇ」


「あなたの身体のことは、私のほうがよく知ってるもの」


「……へぇ」


「保健の先生ですからね」


「……ふぅん」


「強めに圧迫しておいたから、血もすぐに止まるわ。家庭科の途中なんでしょ? これなら教室に戻っても」


「セ・ン・セイ?」


「きゃっ!」



 グイッ!
 
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