鏡怪潜〜キョウカイセン〜
学校に到着すると、私のクラスだけ他のクラスとは違って、下駄箱も寂しい。


伊達君の暴挙により、私のクラスだけ死者が多くなったから、仕方ないんだけど。


靴を履き替えて教室に向かうと、他の学年の生徒達は何事もなかったかのように過ごしている。


休校で、人が死んだ所を見なかったから、こうして普通に学校生活を送れるんだろうな。


羨ましいな。


そんな事を思いながら、階段を上って二階の教室に向かう。


踊り場にある鏡は、下を向いて通り過ぎて。


教室に入っても、部屋の中にいるのは10人足らず。


あの事件で死んだ生徒は、影宮さんと片桐さん以外は全員私のクラスで、ドラマのように机の上に花が飾られるという事はなかった。


一週間前に机は自習室に入れられ、広い教室を残った生徒達で使っている。


それがまた、私を寂しくさせた。


クラスメイトも、誰が入って来たかを見るだけで、挨拶を交わそうとしない。


あの日、樹森君に追い掛けられていた木崎君は、自分の席に座って、大人しくしている。


いつも一緒にいた前田君達が殺され、自分がやった事で、恨みを買って殺されそうになったというのがあるのだろう。


伊達君と樹森君の行動は、少なからず残された生徒達に、影響を与えていた。
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